理学療法士として働いている私が、リハビリやそのお仕事について書いているblogです。
少しでもリハビリの仕事や資格について知っていただけたら幸いです。
前回は言語聴覚士になるには〜養成校について〜お話ししてきました。
国家試験を受けるために養成校に通いますが、理学療法士や作業療法士とは違う部分があったり、臨床実習についても違いがありました。
今回は、言語聴覚士(ST)の国家試験についてお話ししていきます。
言語聴覚士(ST)の国家試験合格率は?
平成31年、第21回国家試験の受験者数、合格者数、合格率をみていきましょう。受験者数 | 合格者数 | 合格率 | |
言語聴覚士 | 2,367人 | 1,630人 | 68.9% |
前回の言語聴覚士の合格率は68.9%でした。理学療法士と作業療法士の国家試験合格率と比較すると、かなり低めとなっています。
近年の合格率の推移をみてみましょう。

近年は70%前後で推移しているようですが、過去を見ると50%台とかなり低い数値となっています。
理学療法士(PT)、作業療法士(OT)、言語聴覚士(ST)の合格率をみてみると

(引用元:https://www.pt-ot-st.net/index.php/topics/detail/958)
言語聴覚士は極端に低い状況で、近年は、理学療法士、作業療法士と同程度となってきている状態です。
理学療法士や作業療法士同様に、言語聴覚士になるために国家試験に向けて4年次には猛勉強をします。猛勉強をした人が国家試験を受け、この合格率の数値ということは、難易度としては高めということではないでしょうか。
また、新卒者、既卒者で分けて合格率をみてみると、
受験者数 | 合格者数 | 合格率 | 新卒 合格率 | 既卒 合格率 | |
H29年 | 2,571 | 1,951 | 75.9% | 88.6% | 34.8% |
H30年 | 2,531 | 2,008 | 79.3% | 91.3% | 36.8% |
H31年 | 2,367 | 1,630 | 68.9% | 82.6% | 13.6% |
新卒者では80〜90%台と高い数値となっています。
既卒者では、前回は13%とかなり低い数値です。
理学療法士、作業療法士でも同様でしたが、既卒者の合格率はかなり低くなります。
もちろん試験問題は同じです。
既卒者においては、1年勉強する時間があると思われるかもしれませんが、やはりモチベーションを保つことが難しいようです。
昨日、大学の先生と話す機会があり、国家試験について聞いてみると、
臨床実習、卒論、卒業試験、国家試験と期間があまりない人の方が、集中して取り組んでおり、結果、良い結果になっている場合が多いと言われていました。
期間がないということは、いかに効率よく勉強するかを考え、スケジュールをしっかり立てて勉強するようになります。
例えば、1年あるとさすがに1年間のスケジューリングは難しく、常に勉強するということも難しいため、結果合格率が低くなっているようです。
スムーズに合格するためにも、4年次にしっかり勉強して、1発で合格できるようにしていきましょう!!!
言語聴覚士(ST)の国家試験受験資格
言語聴覚士法第33条第1号の規定により、文部科学大臣が指定した学校または、都道府県知事が指定した言語聴覚士養成校において、3年以上言語聴覚士として必要な知識及び技能を修得したもの。とされています。
言語聴覚士(ST)の試験日時・場所
試験日:毎年2月
(平成31年は、2月16日土曜日でした。
理学療法士、作業療法士より少し早く、曜日も違います。)
試験地:
北海道、東京都、愛知県、大阪府、広島県および福岡県
(試験地も理学療法士、作業療法士とは違います。受験者数が少ないこともあり、試験地も少ないです。沖縄の方は、福岡まで行かなければなりません。)
試験科目・試験内容
試験科目:基礎医学、臨床医学、臨床歯科医学、音声・言語・聴覚医学、心理学、音声・言語学、社会福祉、教育、言語聴覚障害学総論、失語・高次脳機能障害学、言語発達障害学、発生言語・嚥下障害学および聴覚障害学
試験内容:
5肢択一式の筆記試験です。
午前100問、午後100問の計200問が出題されます。
言語聴覚士(ST)国家試験の点数配分・合格点
配点は、1問1点、合計200点満点です。合格点は、120点で6割取れば合格となります。
理学療法士や作業療法士とは違い、3点問題はなく、すべて1点問題です。
合格基準は理学療法士、作業療法士と同様に6割となっています。
ここまで言語聴覚士になるための国家試験について詳細をお話ししてきました。
国家試験の内容については、理学療法士や作業療法士と共通する部分はなく、点数配分も違います。
しかし、既卒者の合格率が低いという点では、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士と全てにおいて共通しています。
4年次に忙しい中でも、スケジュールを組んで、しっかり勉強して1発で合格できるようにしましょう!!
ここまで、理学療法士について、作業療法士について 言語聴覚士について
リハビリの専門職3つについて詳しくお話ししてきました。
患者様の身体機能面、精神面を支え、そのご家族や患者様を支える様々な他職種の方と連携し、患者様が自立した生活を送れるようにするとてもやりがいのある仕事です。
リハビリの専門職について知っていただき、これから大学を目指す人や将来について考えている人にとって、 少しでも参考になれば嬉しいです。